クライエントの言った言葉を変えていってはいけない。
クライエントの言った言葉をそのまま伝えなくてはいけない。
そのように養成講座で習い、そう捉えている方は一定数いらっしゃいます。
一方で、技能士試験の試験官のコメントを見ていると
「キャリアコンサルタントがわかったことを返す」
という助言もあります。
これらはどちらが正しいのでしょうか?
私は「そのまま返す」というようにこれまで習ったことがないので、
そうする意図までは正確には理解していませんが、
まず、一番大切なことは
クライエントがこのキャリアコンサルタントは自分のことをわかってくれる、
わかってくれた
と感じられるかどうか、だと思います。
何をするか、という手段よりも目的のために何をするか、ではないでしょうか。
その前提で、では自分がクライエントだったら
自分の言ったことを「そのまま返す」「おうむ返し」だけをされたらどう感じるか、というと
私は「言ったことを返してるだけじゃん」
と思うと思います。
そしてわかったことを返す、という場合も、キャリアコンサルタントが
先読みをされたりするのは違和感があります。
例えば
「当初定年後は継続雇用を考えていましたが、継続雇用を選択したら給与も下がるし、仕事内容もわからないみたいで、それはちょっとどうなのかと思いますし、だったら別の仕事に移ろうかと考えています」
と言ったクライエントに対して
「会社に対して憤りを覚えて転職したいということなのですね」
などと言われると、そこまで言っていない、まだ転職を決めたわけではないけれど
という感覚を抱きそうです。
では「継続雇用を選択すると、さまざまなことが今までと同じにいかなくなる、そのことがご心配なのですね」
だといかがでしょう?
つまり、
クライエントが言ったことについて自分がわかったことを、クライエントが言った内容にとどまって返す
ということではないでしょうか。
養成講座で「言ったことを正確に」と言われるのはクライエントの言ったことに留まる、ということが初学者には難しいから留まれるようになるために、そう指導されるのではないかと思います。
ただし、言った言葉を正確にそのまま返すだけではクライエントの外に表出した言葉だけを理解することになり、ロジャーズのいう「共感的理解」、つまりクライエントの内的世界を理解し、それを返すにはなりません。
もちろんキャリアコンサルタントとして自分がどう解釈するのか、
クライエントにとって最善の支援は何か、どう考えるかによると思いますので
あくまで私の解釈です。
自分はどうしたいのか、どう考えるか、向き合い、
どのような学びを得ていくのか、考えてみてください。
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