ある臨床心理士の先生の本を拝読しています。
その他の先生方の著書を読んでいても、
臨床心理の世界で言われる「カウンセリング」と
キャリアの世界で言われる「カウンセリング」には
違いがあるように思います。
そもそも「カウンセリング」「カウンセラー」という言葉自体が
自由に使われすぎているため、何が正しいとはいえないという
前提での考えです。
臨床心理の世界では
カウンセリング=人間性心理学、認知行動学、力動学、システム論など
全てを含んで捉えられていて、
つまりさまざまな心理療法全般を指し示している。
それに対してキャリアの世界での
カウンセリング=人間性心理学
であり、カウンセリングが行われた後、
さまざまな療法、アセスメント、方策があると考える。
特にキャリアの世界ではロジャーズの来談者中心という考え方に
基づいています。
つまりは来談者中心のカウンセリングを行った後、認知行動療法などを行うということです。
もちろん認知行動療法はキャリアコンサルタントはできないですし、
キャリアの世界では、カウンセリング後、クライエントと目標が定まったのちに、
いわゆる「キャリアガイダンス」の考え方に基づいて「コンサルティング」が行われます。
ですから、臨床の世界に行くと
カウンセリング=来談者中心だけではないということであり、
臨床心理の勉強をしてきた方と、キャリアの勉強をしてきた方では
噛み合わない、ということがあるかもしれません。
正直私も、少々混乱していた部分もありました。
臨床心理士という資格は、そもそも取得には相当な時間数を要し、
さまざまな心理学、心理学にとどまらずインプットをするため
幅広く、心理について極めていらっしゃいます。
短期間で取得できるという意味では知識量も実力も衰えると
言えるのかもしれません。
ですが、長くキャリアコンサルタントを続けて、
学び続けることができれば
とにかく人間性心理学を極めるということにも
つながってくるのだとも考えています。
私が資格をとって長く続けられたのは、
ここに関心が持てたからであるように思います。
もし臨床心理の世界から入っていたとしたら、
例えばその他の心理学にどれだけ関心を持てたのか、
というと続けられている自信はありません。
もちろん人間性心理学を極める上でその他の心理学も
学び、活用はしますが、それは自分の土台があるからだと思います。
そして当然、臨床心理の方も人間性心理学に基づいている方は
いらっしゃいますがそれ以外によってたつ方も多くいらっしゃいます。
そういった臨床心理士の方々がキャリアコンサルティングを学ぶとき、
人間性心理学をもう一度しっかりと学ぶ必要性が出てきます。
つまり臨床心理の方がキャリアコンサルティングを学ぶ一つの
メリットはここにもあるように思います。
どちらの資格が・・・ではなく、
つまりは結局自分は何がしたいのか、
何をカウンセリングと捉えているのか、
キャリアコンサルタントの倫理綱領に何が書かれているのか。
そういうことを自分自身で自分に落とし込んだ上で、
自分の立ち位置、できること、そしてできないことをはっきりさせておくことは
プロとして大切なことだと思います。
