カウンセリングでクライエントに対して「理解を返す」
ということは、
クライエントの話す言葉も
もちろん重要なエッセンスです。
ですが、そもそも人は話した事だけを
誰かに理解してもらいたいのではなく、
自分という「人」を理解してもらいたいという性質を持っています。
ということは「話した言葉」だけを理解するのでは不十分であり、
これまで何十年という人生を歩んできた人、
仕事を始めてからいろんな努力をしてきた人、
うまくいかない今に至るまでいろんな葛藤を抱いてきた人、、、など
その人のこれまで全ても含めて理解しようとすることは
言葉だけに反応する以上に、クライエントの心を動かすことがあります。
例えば
「鉄道の仕事が好きでこれまで仕事を続けてきたけれど、
出向を言われてどうしようかと悩んでいる」
というクライエントの背景には何があるのでしょうか。
どんな日々が、どんな思いがあるのでしょうか。
今の仕事につきたいと思って努力してきた過去
うまくいかない時にも仲間と一緒に好きだからこそ乗り越えようとしたこと
・・・などが背景にはあるのです。(あくまでも一例です)
そういうクライエントを理解しようとした時にどんな言葉が出るでしょうか。
「そうですか出向を言われてショックなのですね」
という応答ではどこか他人事としか聞いてもらえていないような
感覚を抱かせるかもしれません。
もちろん勝手な推測や妄想を勧めているわけではありません。
今ここにきているクライエント、そして話すことはその人の一部にしかすぎない
ですし、それだけを理解しようとすることのリスクも踏まえておいていただきたいです。
クライエントの言葉を頼りに理解し、そして言葉から離れるのも良くはない。
それとは矛盾して聞こえるかもしれませんが、
その人自身を理解する、ということができるかどうかは
カウンセリングの効果を発揮するためにとても大切なことではないでしょうか。
来年はそんなところにも注力していきます。
